子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

3/10

 

毎朝、今夜こそ早く寝ようと思うのにどうも達成できない。

一年前に友人に言われた言葉をそのまま違う友人に言った。この人に見せたい良い顔などもはや残ってなくて、どうしても打開したいと言うので、なら何も聞かずに助けたいと思った。去年、遥か遠くに見えたあの友人にいま自分はなっているのだと思った。おまえの光になりたいなど大袈裟なことは思わない。生きているだけでいいとも言わない。お前の笑った顔がまた見たいとそれだけの気持ちでわたしには到底考えられないことをやってくれた友人の気持ちが本当に今日分かった。どこまでも行こう、大丈夫だからと祈るように電話口に叫んだ。なんでもできるんだから。自分にあんなに言い聞かせた、ほとんど呪文のように唱え続けていた言葉を他人に言う日が来るとは思わなかった。かけがえのない存在を救うことで自分も救われるのだ。まだまだ途中だから大丈夫。いろんな話をしながらゆっくり歩こう。誰にも言えないことを何度も繰り返して、それでも到達したい場所があるのなら、その手助けがわたしにしかできないなら、何をしてでも連れて行ってやる。ここまで来れたんだから、もっと先まで行ける。

そう言って、なぜかわたしが泣きそうになりながら電話を切った。わたしの大切な人を絶対に救ってほしいと誰に祈ればいいのか、神を持たないわたしには分からなかった。