子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

2024/02/25

どうでもいい夢ばかり見る。

人生を賭けた恋があっけなく終わってしばらく経つ。もう少し未練が残る予定だったが、驚くほどスッキリした気持ちの日が続く。通勤中の車内で、仕事終わりの風呂の中で、夜中のベッドで、いきなり号泣することもぱたりとなくなった。そうか。じゃあ良かったね。他人事のように思う。

人間はともかく、愛された記憶だけがなかなか消えなくて困る。昔言われたことを似たようなシチュエーションでふと思い出すと、さすがに一瞬胸が詰まる。仕方ないよ、と唱えて切り替える。仕方ないよ。あんなに好きだった人はもうどこにもいないから。

春はいきなり記憶の蓋が開くからよくない。不意に突き飛ばされたように思い出してしまう。思い出すことも忘れて私の一部になってしまったこともきっとたくさんある。それをギフトとは呼ばないけど、仕方ないから抱えて歩く。私は私と別れることはできないと泣いた日もあった。隣にいた人はもういない。私はここにしかいない。