子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

9/30

 

ずっと感じていた違和感の正体はなんだろうと考えていた。

光源が自分の後ろにある。未来が明るかったことがあまりなく、自分の影ばかり濃い。自分の影でよく前が見えないのでいつも頭を右に左に動かしながら這いずっている。振り返れば通ってきた道だけが明らかに明るく、それは思い出いう名になった自分の記憶が証明しているのであった。二度と会えなくなった人やもう行けなくなった場所は常に鮮明にまぶたに残っている。過去のすべてが愛おしく、ずっと裾を引きずられている。でもわたしを引きずる腕を辿っていくと何回見てもわたしの顔が付いていてやっぱり何回も落胆する。人より少しその力が強くて、なかなか前を向けない。そういうふうにやってきた。