子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

4/22

 

入社して一年が経ち、次の新卒へ向けた会社の紹介文を書いた。それなりに書けばそれなりに見える。

一年経っても世の中は変わらず、各地で去年耐えた分だけの不満が噴出している。かくいう自分も例に漏れず、相当気は緩んでいる。仕事に押されて思うように文章を書くことができず始めた日記だったが、なんだかんだ言いつつ書いていたような気がする。やっぱり書かずにはいられない側の人間だったのだ。そのことに安心する。

一年前では信じられないような額のお金がせっかく貯まり、今はそれをドカドカ消費して新生活の準備をしている。生まれた時からずっと居場所はあるのに、自分だけの楽園が作りたいなんてなんと贅沢だろう。選べることが嬉しい。挑戦できることが嬉しい。

切羽詰まった時に飛び込んだ場所はやっぱり安息の地ではなく、引越しがまだ終わってもいないのに結構真面目に転職を考えている。この会社では自分らしく仕事ができていますなんて、書いてて苦笑するしかない。今の会社で自分らしくいられたことはあまりなかった。殺して殺して、それでもどうしても出てしまう少しだけのわたしは、しかし結構愛されているとは思う。若くて可愛いからなのかは分からない。分からないけど全部そうだと思ってしまう。ここにいたらまた自分を呪ってしまう。

家も会社も心底嫌で、しかし家は手に入れた。文字通り自らの手で。山奥の小部屋で死にかけていたわたしに言ってやる。やっと人生が忙しくなってきた。自分の性格はよく分かっている。どこに行ってもどうせ満足しないのだろう。今世は探し続ける人生なんだろう。抗ってやる。どんな素敵なところにいても、誰が止めても、この面倒な性格を抱えて、抗いつづけてやる。

最近はかなり暖かい。明日はこの冬のあいだ着通したジャンパーを置いて出勤しよう。いつでも生まれ変わる。