子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

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寝ようと思って寝室に入ったら一番大きな窓のシャッターが全開で、今日休みの人間が二人もいたはずなのに何してたんだと思ってしまう。ため息をついて窓を開けるとオリオン座がちょうど正面に見えて、ベランダに出てしばし見惚れた。

遠距離恋愛をしていた頃、恋人だった人と電話しながら見上げたらちょうど月が出ていて、それを話したら相手もよく見えると笑ってくれた。目の前に大きく見える月の方が電話越しに笑っている人より近く感じて、どうしようもなく悲しくなった。たぶんあれが初めて遠距離恋愛を諦めた瞬間だった。それから程なくしてその人とは別れてしまった。

目の前に見えるオリオン座も恋人も触れないのなら同じだと思う。隣にいないなら、どこにいたって同じこと。

冬の夜はいつも震えながら煙草を吸っていた。最近滅多に吸わなくなった香りが懐かしい。どの夜も好きだった。いつも一人だった。