子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

3/22

 

もうここにはいない人の顔ばかり思い出す日だった。強い風に顔を背ける直前に姿が見えた気がして、確かめるのも馬鹿らしいのについ見てしまう。やっぱり誰もいなくて安心する。望み通りそこにいたら満足なのだろうか。誰の顔を思い浮かべたかったのだろう。

昨日の夜に追い詰められていると自覚してしまってからやけに動悸がする。ダメだと思うことばかり増えていく。積み重ねてきたものなんかなかった気がする。ここにいた一年の成果なんか何もない。

自分のことを話す時あまり息が吸えなくなる。大丈夫ですかと不安になる。生きているだけで褒められるわけがないと口に出してみたら気持ちよかった。何にも勝てなかった今日がちょっとだけ清算された気がした。