子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

12/10

 

仕事終わりに人のいない河原で煙草を一本吸うのがたまの息抜きになっている。鉛筆みたいに尖った煙草を見ていつかの日を思い出した。

夜勤終わりの彼氏を迎えに行ったらちょうど煙草に火をつけたところで、何かいつもと違うことがしてみたくなった。火のついた煙草を持った彼氏を原付の後ろに乗せて、誰もいない夜中の国道を走った。馬鹿みたいに笑いながら背中にしがみつく彼氏が大好きだった。家に着くと煙草の火はかろうじて残っていて、でも強風にさらされすぎて不格好に尖っていて、吸えたもんじゃなくてすぐ火を消したのだった。どん底だったけど楽しかった。目をそらし続けていたからかもしれない。でも二人じゃないと生き延びられなかった。

目の前で犬が立ちションをして、やけに牧歌的だった。目の前を流れる川がたとえ鴨川でも、わたしはたぶん仕事終わりに死にそうになりながら煙草を吸っているんだろう。それでもいいから本当にこれが鴨川だったらなあと思う。やっぱりいつか京都に住みたい。その時となりに誰もいなくても、なんか大丈夫な気がした。わたしが行きたいところへ、わたしがわたしを連れて行く。遠い遠い未来の、でも必ず来るその日が楽しみに思えて、若くて良かったと初めて思った。頑張れ宗谷燃、まだまだこれから。