子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

3/1

出生を憎み親を憎みそれでも生き続ける自分を呪い、ハッピーエンドに感動できない自分を呪い、わたしは他人とは違うとこんな形でしか叫べない自分を呪い、やがて終わらない後悔の日々が来たとしてもそれでもあの日のわたしを救ったのはやっぱり人間だった。そのことがどうしようもなく辛く悲しく苦しい。いつの間にか他人の人生のターニングポイントにいくつも立ち会っている。そうと分かる瞬間の方が少なく、いつもいつも後から気づく。どうしても作ってしまう大切な人をやっぱり呪い、いつかいなくなるなら今日のようなぬるく湿った春の始まりの夜が良いと思った。始まれば終わっていい。それでも、音もなく流れる膨大な時間のほんの一瞬だけ溢れ出す光の中で目が合ったことを今でも覚えているから、来るべき時をただ待ち続けている。諦められる日が来たらやっとわたしにも翼が生える。