子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

4/13

 

最後に海を見たのはどんよりとした曇り空の日で、空と海の色が同じだった。いま自分がいるのが海の下で、遠くでサーフィンをしている人が空の上で、そう言われても信じられると思った。

今日はやけに肌寒くてなぜかそわそわしてずっとその日の景色が瞼の裏から離れなかった。

 

 

彼氏と電話した。一ヶ月くらい前に男の人と二人で話してたら苦言を呈されたことがあって、そのことを思い出してちょっと言い合いになった。弾みで「もう嫌いだ!」と言ったら「おう、なんとでも言え!」と言われて、毒気を抜かれて笑ってしまった。話し合おうとかもう別れようとかではなく、なんとでも言え!って、すごいなこいつと思った。人によってはすごく嫌だろうけど、歩み寄りではないが放棄でもないその姿勢が私にはとても新鮮だった。ならばなんとでも言わせてもらおう。そしてなんとでも言ってもらおう。

こうやって文句を言い合いながら、別れたいと思うほどの喧嘩をしながら、これから先もこの人と一緒にいるんだろうなぁと思った。