子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

5/21

 

雨のベランダに出て煙草を吸う。遠くで踏切の音がして、その反対側では新幹線の轟音が聞こえる。大きい道路をたくさんの車が駆け抜ける音がする。手を伸ばすとぬるい雨が当たって、霧で白んだ空に煙草の煙が消える。振り返れば田舎のワンルームは煌々と明るく、全部自分で稼いだお金で揃えた家具が整然と並んでいる。

Home sweet home!とてつもなく嬉しい。やっぱりわたしはどこへでも行ける。どこへ行っても嫌なことがあった日は食べ物を買い込んで食べきれずに落ち込んで、煙草を吸って、生きていくだろう。どこに住んでもそこが愛しい我が家になるだろう。相変わらず絶望と希望を繰り返して、なんでもない今日を必死で生きるのだろう。

弱まる気配のない雨音を聞くともなしに聞きながら、今日は自分のことを褒められそうな気がした。