子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

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最近あまり元気がない。

早めに起きて電車に乗る。ここ数日引きこもっていたので知らなかったが、あれだけニュースで言っているのに学生も社会人もたくさんいて、世間が落ち着くのはまだまだ先のことになりそうだと悟る。

 


自分の将来を自分一人で決められると思ったことがない。それは親に決めてもらった方が楽だったからだ。楽な方をとっていたツケがきているのか。それとも学校に行かなかったツケか。全部後回しにしてきた分の清算をずっとしていると思ってはいたけど、さすがに気が滅入る。やっていけるのかな。

 


用事があったので百貨店に行く。洋服や化粧品の売り場はかなり空いていた。気を抜いている店員に近寄ると姿勢を正すのを見て、小学校のとき育てていたオジギソウを思い出した。

 


帰りの電車を待つホームでたばこ生産停止要請を知り、膝から崩れ落ちそうになった。情勢の不安定さや将来への不安や寂しさと混ざって本当に憂鬱な気分になって、パニックになりそうだった。電車の座席に滑り込んでイヤホンをつけて目を閉じ、強制的に世界をシャットダウンした。気がついたら家の最寄駅に着いていた。

 


久しぶりに外に出たらすっかり暖かくて驚いた。家に帰ったらハンドメイドサイトで買った布マスクが届いていた。優しく包まれた柔らかいガーゼを触ると少し安心した。

 


夕飯のカレーを食べたあと、犬に遊んでもらった。犬は何も知らないし何も変わらない。犬がいてよかったと思う。

スーツについた犬の毛も、愛おしい。