子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

10/13

 

誰も好きになりたくないし全員に忘れてほしい。ずっと覚えててくれないなら今この場で嫌いあったほうがマシ。大事なものがどんどん変わっていって、自分だって忘れた人や捨てたものが無いわけないのにいつも被害者みたいな面で泣いている。そんなわたしを無責任に慰めるほどみんな非情ではなくそれがまたせつない。完全に忘れ去ることなんてあり得なくて、ならせめてその中で生き続けたいとか、やっぱり元気でさえいてくれたらとか、そういう先が見えない不安がすべて性別に集約されて、同性だったら気軽にまた飲みに行けたんだろうなとしか思えない。異性だから越えられた壁なんてひとつもいらなかった。一緒に闘いたかった。無駄に心を残したくなかった。人にあげたぶんだけ減ってしまった。同じように減っただろうか。そうするしかなかったんだろうか。歳上ばかり好きになるからいつまで経っても追いつけない。ずっとずっとずっとずっと並んで歩きたかった。消えてしまったみんなと。