子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

手紙 覚え書き

同棲が終わる一週間くらい前に手紙をもらった。何かのついでにそういえばこれ書いたからと軽い感じで渡されて、こんなベタなことする人だったんだ、やだなあ、なんかほんとの別れみたいじゃん、リアルになってきちゃうじゃん、手紙ってさ。スヌーピーの封筒に書かれた宛名を見ていたら胸の奥が熱くなって、涙を封筒に落とさないように上を向いた。引越しのバタバタに紛れないところにしまおうと思って手帳のカバーに挟んだ。


実家に帰って一番に手紙を開けた。

「いってらっしゃい!」で始まる手紙だった。最初の文があまりに素晴らしくて一回手紙を閉じた。実家のリビングで読むものじゃないと思って、慌ててトイレに駆け込んだ。(実家には風呂とトイレと両親の寝室以外にドアの閉まる個室が無い)

優しい人が丁寧に綴った手紙だった。私が何回生まれ変わっても到底思いつきそうにない優しい言葉がたくさん書かれていた。もったいない気持ちと早く先を読みたい気持ちで忙しかった。あぁ、私たちはずっと同じ気持ちだったんだな。一生懸命ぶつかったことをこの人はちゃんと分かってくれていたんだな。もっと早く気付けばよかったな。もう一緒に住んでないのに。もう家に帰ってもあなたはいないのに。

折にふれて何回も手紙を読んだ。会いたい時、寂しい時、つらい時、いつもだったら泣きついて頭を撫でてもらうけど、もうそれはできないから。

 

人生の中で何度も何度も読み返す手紙をもらえることがあるなんて思ってもいなかった。すごいなーと思った。何回も読み返したくなる手紙を人からもらう人生、割とすごいでしょ。そういう人生だと思ってなかった。

明日のこともよくわかんない日々だけど、なんかすごいなーと思ったので書きました。本当に何度も読んだのでもう暗唱できると思う。

あの字を、あの声で。