チョコミントが好きだった。
その前はジンジャーエールにはまっていた。
今は暇さえあれば素焼きのアーモンドをずっと食べている。いつ過去形になるだろう。
一人暮らしを始めてから、食べたいものを食べたいだけ食べられるようになった。深夜にカップラーメンを食べても、ジュースばかり飲んでいても、うるさく怒る人はいない。親が一生懸命保ってくれていた健康な食生活が崩壊するのに、そう時間はかからなかった。
何か好きなものができるとずっとそれ一つに熱中するたちだった。短絡的で幼稚な思考。少しずつ楽しむということができない。許される限り時間を割いてしまう。あればあるだけ食べてしまう。1人になって初めて分かった。
ジンジャーエールにはまっていたときは、2,3日に1回は2リットルのペットボトルを買っていた。思い返すと気持ち悪いが朝起きて水の代わりに飲むほどで、しかしある日突然飽きてぱたりと飲まなくなった。チョコミントがマイブームだったときは、どこに行ってもチョコミントと名のつくものを血眼になって探した。あれが美味しいと本気で思っていた。しかしそのブームもすぐ終わった。
こうやって生きていくしかないのか、と足元がぐらつくときがある。好きになったら飽きるしかないのか。もういらないと思うまで吸い尽くして、飽きたら終わりなのか。そうやってしか、自分以外の全てを愛せないのか。
隣で寝ている恋人の髪を触る。頰を撫でる。
まだまだ雪は止みそうにない。