子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

打ち上げ花火 6

打ち上げ花火を見た。

風のない、晴れた日だった。

人々の熱気を物ともせず、突然始まった。

火の玉が上がって花が開くまでの沈黙は長いように見えて一瞬で、それまでの暗闇のことなど忘れてしまう。花火を見上げる人の横顔はいつになく輝いて、この顔を見下ろせる花火は幸せだろうなと思った。

連続で花火が上がると煙が空を覆って何も見えなくなってしまった。花火は一生懸命上がってるけど、上がってるのは分かるけど、その姿は全然見えなかった。

反対側や上から見たらちゃんと綺麗に見えるのだろうけど、こちら側からは雷のようにしか見えなかった。

 

あぁ、こういうときあるよなと思った。

 

家に帰ってきて、線香花火をやった。飽きないねぇと笑われたけど、手元で光る線香花火のほうが綺麗に見えた。手に入るきらめきのほうが、素敵な気がした。