子守唄

ねんねんころりよ おころりよ

宅配便 5

宅配便を待っている。

すごく欲しいものだった。すごく欲しかったはずなのに、それが何だったかを忘れてしまった。ただずっと待っている。

 

そんなことばかりの人生だった。

 

いつか誰かが迎えに来てくれるはずだ。一瞬で世界が変わるほどの何かを持ってきてくれるはずだ。なんの根拠もなく、でも心からそう思って生きてきた。

何回か宅配便は来た。その度に私はその時やっていたことを全て放り出して、全速力で玄関に向かった。でもそれは当時の同居人のものだったり、遊びに来ていた友人のものだったり、離れて暮らす妹のものだった。どうして私には何も来ないのだろう。泣きながらサインをして受け取ると、彼らはみんな顔を輝かせて、荷物を大事に抱えて私の部屋から出て行った。誰ひとり、何が入っているのか教えてくれなかった。

 

半ば諦めて、でも完全に諦めることはできなくて、来客のチャイムを聞き逃さないように、今日もひっそり暮らしている。